怖いのは鉛の弾丸だけではない

水と健康

大多数の住民の毛髪は抜け落ち、無数の湿疹や皮膚炎を起こしました

そして、何より子供の脳への影響が危ぶまれたのです

フリント市が、その原因が水道水にあることを長期間隠蔽していたことで被害は拡大していったのです

ゼネラルモーターズ発祥の地アメリカのミシガン州フリント市で高濃度の鉛で汚染された水道水によって10万人の住民への健康被害が確認され時のオバマ大統領が非常事態宣言を発令した大事件となったのです

ライフルなどの弾丸の材料にも使われる鉛は、重金属の中でも人体に深刻な影響を及ぼします

赤血球のヘモグロビンの生成を阻害し、多臓器不全を起こしてやがて死に至ります

子供の場合には深刻で、神経障害や脳の発育不全、知能指数の低下をもたらします

告発者の一人であった小児科医は2,016年1月20日付のBBCのインタビューで「住民への影響は彼らが生きている限り続く」と述べました

この表現は正確で的確だと思います

乳幼児が、ミルクや母乳を通して鉛を体内に入れた場合、20年間という歳月を費やしても身体から排出されるのは50%程度です

大切な子供が鉛で汚染されたミルクを口に入れた場合、その子が成人式を迎えたその時でも、鉛は体内に半分残っているのです

恐ろしいことです

日本の水道水に含まれる鉛の許容上限は、WHO(世界保健機構)のガイドラインの5倍に設定されています

WHOの許容上限=1リットル当たり0.01mg

・ 日本の許容上限=1リットル当たり0.05mg 
               (mg=1/1000g)

  あなたは、上述の内容を踏まえて、WHOの基準であったなら安全と考えますか?

日本での鉛管の使用は加工や修繕が簡単で、錆びが発生しないことから1,980年の後半まで使われていましたが、現在では使われておりません

言い方を変えると、それ以前に施工された建物や水道管には使われていることになります

水道水の鉛汚染は自然界から受ける影響は稀で、そのほとんどは鉛管や施工時に使用したはんだなどの配管材料からのものです

西暦79年のベスオビ山の噴火によって埋没したポンペイでは既に水道用として鉛管が使用されていたことが発掘された遺跡から確認されました

古代ローマ帝国が滅亡したのは鉛管を使用していたことによるのではとの説があります

真偽のほどは分かりません

しかし

我々は、大切な家族や自身の身を守るために何かしらの対策を講じないわけにはいかないのです

話しは変わって、最後に北海道での鉛の話題です

オジロワシやクマタカ、オオワシ、シマフクロウ等の猛禽類が、ハンターが撃った鹿などの体内に残った鉛弾を肉と一緒に食べることで鉛中毒を起こし死亡する事件が多発したことを受け、2,004年から鉛弾の使用が禁止され銅製弾へと切り替えられました

例えば、オジロワシは絶滅危惧種2類で国の天然記念物に指定種です

体重3~7㌔程で翼を広げると180cmにもなるのですがその貴重な鳥が雪原に横たわって死んでいる姿は悲惨です。

繰り返しますが、人間も身を守るために何らかの対策を講じなければなりません

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